ニュージーランド移住前に少し考えるべき社会保険のこと。ー健康保険編ー

ニュージーランド移住 医療

日本の健康保険は海外の治療費にも適用できることはご存じだろうか。ニュージーランドにかかわらず海外渡航する場合、日本の健康保険や国民年金について多少は知っておいたほうがよい。いや、知っていなければいけない。


社会保険にも色々あるが、この記事では健康保険や国民年金について書いてみる。

日本で普通に生活していれば、健康保険や国民年金をたいして意識する必要はない。サラリーマンであればなおさらである。すべて雇用主が計算して天引してくれている。無頓着な人なら成人してから定年まで、なぜ天引きされているのかすら考える必要もない。それはそれで幸せだ。

でも、海外に行く人は違う。知っておかなくてはいかない。

日本から住民票を抜くと、健康保険や国民保健はどうなるのだろう?
考えたこともない?


住民票を抜くと「海外居住者」になる

移住や留学で海外に渡航する場合、住所は海外になる。日本国内でもそうであるが、引っ越しに伴い、転居先に住民票を移さなくてはいけない。ただ、海外に行く場合は、住民票の届け先がないので「住民票を抜く」ことになる。

日本から住民票抜いた人は、もちろん日本人であることに違いはないが、「海外居住者」という少し扱いの異なる存在になる。

健康保険、国民年金に関していえば、保険料を納付する義務はなくなる。

保険料を納めなくていい?
ラッキー!?そうかもしれないが、そうでないかもしれない。


海外居住者の健康保険

まずは、健康保険から。
海外居住者は健康保険料を払わなくていい。海外滞在中は、日本の医療機関のお世話にならないのだから保険料を払う必要がないというのは理にかなっている。

そもそも住民票を抜けば、転居のデータに自動的に連動して健康保険の支払い請求も止まる。日本に戻ってきたときに住民票を戻せば、おのずと健康保険料の請求も復活する。

一年のうち一か月でも定期的に日本に戻ってくるのであれば、緊急を要さない予防や定期健診に関しては、医療費の高い海外の医療機関は避けて、日本に帰国したときに健康保険に加入し、3割負担でいい日本の健康保険を使ってこれらを済ますことが可能である。

なにか裏技のような書き方をしたが、これが良い悪いということはなく、国民皆保険は日本人の義務なので、日本に戻れば健康保険に加入するしかない。保険料を支払えば、保険を利用する権利も得る。

ただ、地方自治体の窓口担当者によっては、海外居住者が短期間の健康保険の加入・脱退を繰り返すことにいい顔をしない人もいる、というのは聞いたことがある。


健康保険は海外でも使える

こちらの方があまり知られていないという意味では裏技っぽいのだが、日本の健康保険は海外でも使えるのだ。もちろん健康保険に加入したまま海外渡航した場合、の話である。

詳しくは以下の参照先を見てもらいたいが、海外でも「3割負担」は可能である。

「海外で急な病気にかかって治療を受けたとき」 全国健康保険協会

ただ、この記事を読んだことによって「海外旅行保険や医療保険に入らくていいんだ」と勘違いされても責任を負いかねるので、以下に注意点を挙げておく。

・いったん海外の医療機関の窓口で全額支払う必要がある。
・帰国時に詳細な診断明細を持参して日本で7割分の払い戻しを請求する。
・日本国内で同じ傷病を治療した場合にかかる治療費を基準に計算した額の7割分の払い戻し。
・海外の治療費の方が安い場合は、その額の7割分の払い戻し。
・2年以内に申請。

たいていの場合、同じ傷病の治療でも日本より海外の方が治療費が高いというのが現状であるため、実質、海外支払い額の3割負担で済むことはほとんどない。

例えば、海外で50万円の治療費を払ったとしても、日本で10万円の治療であれば自己負担額は3万円であり還付額は7万円。実質この例で支払った医療費は43万円(8.6割負担)となる。

結局、海外旅行保険に入らなくていい、ということにはならないが、2次的な補償として考えておくのがよい。

つぎは、国民年金について書きたいが、また日を改めよう。
続く。

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