ニュージーランドで多くの日本人が永住権を取るために目指す職業がある、それがシェフだ。今まさにニュージーランドで専門学校に通っている人もいれば、これから移住する人でシェフになって永住権を、と考えている人もいるだろう。
シェフは「長期不足職業リスト」に載っている
なぜ、みんながシェフで永住権を目指すのか?それは、ニュージーランドが欲しいと言っている職業の一つであり、他の職業に比べ永住権を取れる可能性が高いからだ。
ニュージーランドで不足している職業は以下のWebサイトで検索できるのだが、シェフはこの職業の一つに入っている。
このサイトでは、あなたの職業を入力すれば、それがニュージーランドで不足している職業リストに入っているか否かが即時に表示される。とても便利なので利用しよう。
「Chef」と入力する。
結果が表示された。「List of Skilled Occupations」と「Long term skill shortage list」に載っていますよ、という意味だ。永住権を目指す場合、「Long term skill shortage list(長期不足職業リスト)」が極めて重要である。シェフはこれにも該当している。
> ニュージーランド永住権につながる仕事-不足職業リスト
永住権申請のためのシェフの条件
さて、シェフについてもう少し深く調べてみよう。リストには載っていたが、それなら入って3ヶ月の見習いシェフでも永住権を狙えるのだろうか?そんなはずはない。条件がある。
Long term skill shortage list(長期不足職業リスト)の”Chef”欄を見てもらえばわかるが、「調理師の資格と5年以上のシェフ経験(うち2年はChef de Partie以上での経験)を有する者」となっている。Chef de Partieとはキッチン内の部門責任者のことである。
ちなみにChef de Partieよりランクの高い職位は、Head chef(料理長、ボス)とSous chef(副料理長、料理長の右腕)しかない。部門編成は組織によりさまざまだが、例えば、グリル(焼き物)部門やコールドディッシュ(サラダ系)部門などがあるなら、Chef de Partieはその各部門の主任達ということになる。
CommisやApprentice(見習い)から入ってChef de Partieにたどり着くまでどれくらいかかるだろうか?縦の厳しい日本ほど長くはかからないが、早くても4、5年はかかる。労働力の回転が早い観光地にあるホテルのキッチンなら3年くらいでChef de Partieに手が届く可能性はある。もちろん、本人の腕がよいという前提での話だ。
永住権を取得に必要なキャリアを築くならば、それ相応の時間が必要ということだ。
ジャパレスのシェフはどうなるのか?
和食(ジャパレス)で言えばどうなるか?多くの日本人はジャパレスのキッチンで働いている。ジャパレスのキッチン担当もシェフはシェフである。
Chef de Partieは西洋キッチンの職位名称なので、部門によって地位が決まる和食の厨房にそのまま当てはめることはできないが、自分の持ち場があって責任を負う立場であるならば、Chef de Partieと名乗っていいかもしれない。
具体的に言えば、焼き場、揚げ場、煮方、板場のどれかの責任者であればChef de Partieにあたると言える。
また、テイクアウェイのSUSHI屋や丼モノ屋などもあるが、正直これらの厨房担当では永住権を与えるにふさわしい「技能移民」と認めてもらうのは難しいと言わざるを得ない。
> ニュージーランド永住権に挑む前に再確認すべきこと、”Skilled Migrant”の意味
いずれにしろ、シェフで永住権を取るのも簡単ではないことがわかっただろう。専門学校と平行してパートから実践を積むとして、永住権に臨むのに十分な地位を得るまでに最短でも5年だろう。
しかし、異国からきた移民がニュージーランドの発展に貢献できる人材だと認めてもらうには、やはり時間が必要なのだ。永住権は長い道のり、そう覚悟して焦らず一歩ずつ進むことが大事だ。